若い神様に出会った気がした
高校時代の友人達と忘年会。
仕事の絡まない気のおけない仲間達とのお酒は本当に利害がなく楽しいね。
そんなほろ酔いでの帰り道。
沿線でもマイナーな自宅最寄り駅まで帰り着き、暗い夜道をふらふらと歩いていた。
後ろから若いと思われる男性が軽快な足取りで追い抜いていった。
5メートルも先に行ったところくらいで、その男性は急にしゃがみ込んで何かを拾い上げた。
何か自分で落としたものを拾ったんだなと思った。
また先にスタスタと歩いていった時、その若者はまた腰をかがめて何かを拾い上げた。
またその先で、後ろから見てもコンビニの袋のようなものが落ちているのを彼はまた拾い上げた。
夕方から雨が少し降ったようで、そのビニール袋は雨水でビショビショ。
何の躊躇もなく拾い上げ、水を切ってまたスタスタと歩いていく。
その後も、あきらかに道端に捨てられたゴミを素手で拾っては歩いていく。
なんなんだろう。
僕はいつも、このご時世にもかかわらずポイ捨てされたタバコの吸殻や、ペットボトルや、訳の分からないゴミを見た時、心の中でなんというモラルのないことと、呪いの言葉を吐きながら、何の行動も起こさなかった。
それを彼は、誰も見ていないこんな夜道で、何の躊躇もなく素手でゴミを拾いつつ家路についている。
すごいことだなあと思った。
神様のように優しい心に触れた気がした。
ただそれだけのことだけど、何だか書き留めておかなければと思った。
こちらの心も少し癒された気がした。
呪いの言葉を吐く前に、やるべきことがあるんだな。